大阪マラソンで考える“SDGsとチャリティ”持続可能なより良い社会の実現に向けて TSURUMI こどもホスピス編

大阪マラソンで考える
“SDGsとチャリティ”
持続可能なより良い社会の
実現に向けて
TSURUMI こどもホスピス編

2023年の大阪マラソンでは、関西大学社会学部・劉雪雁ゼミの学生が、
「大阪マラソンで考える“SDGsとチャリティ”」をテーマにさまざまな人たちを取材する取り組みを実施。
持続可能なより良い社会の実現に向けて何ができるのかを考えます。

全4回シリーズの第4回目はTSURUMI こどもホスピス スタッフの川戸大智さん(写真左から2番目)と4大会連続でTSURUMI こどもホスピスのチャリティランナーとしてエントリーしているシブイエローさん(写真右から2番目)にSDGsゴール3(すべての人に健康と福祉を)とゴール11(住み続けられるまちづくりを)などをテーマにお話をうかがいました。

命を脅かす病気の子どもとその家族に寄り添い、残された時間を豊かにしていく場所

TSURUMI こどもホスピスが作られたきっかけ、特徴と活動内容を教えてください。

2009年に、イギリスでこどもホスピスをやっているシスター・フランシスさんが大阪市中央公会堂で行われた講演会がきっかけです。その後、日本にもこどもホスピスを作ろうという機運が高まり、2010年にこどものホスピスプロジェクトが設立されて、2016年にTSURUMI こどもホスピスが鶴見緑地に開設されました。
寄付をいただいてそれをもとに運営をしている「民間型のこどもホスピス」としては日本初の施設となります。看護師や保育士という専門職はいるのですが、どんな時でも子どもたちの支えになるように、友として寄り添えるということをすごく大切にしています。命を脅かされる子どもたちが安心して地域の中で過ごし、楽しんでいけるようにというのが特徴です。優しい社会を作りたいということを目標に、日々運営をしています。

これまでTSURUMI こどもホスピスを運営されてきた中で、印象的なエピソードを教えてください。

病気になったことで、普段なら当たり前のことができなくなってしまいます。ある女の子とそのご家族がこどもホスピスに泊まり、一緒に晩ご飯を食べている際に、「久しぶりに家族みんな揃ってご飯食べたよね」という言葉がぽろっと出てきたりとか、子どもたちが遊んでいる間に、お父さんお母さんがのんびりお酒を飲みながら話をしている姿を見て、病気の子どもはもちろん、ご家族も同時に支えることができたのかな、と思いました。

ホスピスと聞くと病院のような施設を想像しますが、TSURUMI こどもホスピスはずいぶん雰囲気が違います。

ホスピスですので、最後は死とつながっている場所であり、そこから目をそむけずに、残された時間、限られた時間をどう豊かに生きていくかということに真正面から向き合わないといけません。でも、開放的で楽しい雰囲気を作ることは大切にしていて、こどもホスピスとして、子どもたちが「やってみたい」と思うことを「できたよ」というように実現できたらなと思っています。
ホスピスというネガティブなイメージを良いものに、少しでもプラスなものに社会の意識を変えられたらいいですよね。ちょっとずつ地道に、こどもホスピスってこんな優しい場所なんだと知ってもらえたら、最終的に子どもたちのためになると思います。小さい輪を少しずつつなげて大きくしようとしているので、こどもホスピスを理解してくれている人が少しでも増えると嬉しいです。

去年の大阪マラソンは、新型コロナウイルス拡大の影響で一般部門が中止され、シブイエローさんは走れませんでしたが、今年の大阪マラソンはどのような想いを持って走られるのですか。

去年走れなかった分、「今年こそは」という気持ちが大きいです。また、マラソンで走れるということが当たり前のことではなかったのだなと感じました。走れることはありがたいことだな、という想いで走ろうと思います。TSURUMI こどもホスピスのチャリティランナーとしてマラソンに参加するのは4回目になります。マラソンを走ることでTSURUMI こどもホスピスのことを知ってくれる人が増え、どんどん出会いが広がっていくといいなと思います。

サポートする人が逆に勇気をもらい、応援される側が応援する側に

応援してくれるTSURUMI こどもホスピスの子どもたちや関係者の皆さんへのメッセージをお願いします。

ボランティアとしてTSURUMI こどもホスピスで子どもたちと関わっている中で、逆に子どもたちから勇気をもらうし、励まされているなと感じています。ここに来ると、子どもたちの表情はとても輝いていると思うし、出会えたことに感謝しています。なので、チャリティランナーとしてマラソンを走ることで感謝の気持ちを伝えたいです。

チャリティランナーのシブイエローさんへの応援メッセージをお願いします。

フルマラソンを走ることだけでもすごいことですが、そこにTSURUMI こどもホスピスを応援しようという想いを乗せて走ってくださることを、本当にありがたいと思っています。こうしたチャリティランナーさんが身近にいることから、実は私も今年初めて大阪マラソンに挑戦することにしました!今みんなで一生懸命練習しているところです。
TSURUMI こどもホスピスの子どもたちは、普段は支えられる側、応援される側なのですが、マラソン当日は、TSURUMI こどもホスピスのチャリティランナーを応援する側になります。そういう意味で子どもたちにとってもチャリティマラソンはとても大切です。チャリティランナーを応援することで、子どもたちやその家族が参加できる「参加型チャリティイベント」であることが、大阪マラソンの魅力だと思います。チャリティランナーの皆さん、なんとか完走していただいて、一緒に盛り上がっていけるといいなと思います。共に頑張りましょう!

<取材担当学生:吉田美空・堀越香音>

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